第25回CRCと臨床試験のあり方を考える会議2025 in 大宮
会議代表
秦 友美
(国立研究開発法人 国立がんセンター中央病院 臨床研究支援部門/国際開発部門)
2025年の「CRCと臨床試験のあり方を考える会議」は、25回目の節目を迎えます。これは、CRCの先駆者たちの尽力により、CRCという職務、そして臨床試験チームにおけるCRCの役割が確立された成果です。この節目の会議を代表として迎え、皆様と共に次のステップを踏み出せることを、心から嬉しく思います。
今回の会議テーマは、「CRCと臨床試験の未来~国際化とプロフェッショナリズム~」です。
グローバル化は医薬品・医療機器開発を加速し、新しい治療法の実現を可能にしています。本会議でも第8回の会議テーマに「国際共同治験の活性化」を掲げて以来、国際共同治験の支援体制に関する議論が活発に行われてきました。これまでに数多くの国際共同治験を経験し、ノウハウも蓄積されてきた結果、日本のCRCは、国際共同治験か否かにかかわらず、同様の治験支援が行えるようになっています。
過去四半世紀の間に、世界規模での開発スピードの加速や創薬環境の多様化が進んでいます。EBP(Emerging Bio Pharma: 新興バイオ医薬品企業)などのベンチャー企業が創薬を担うようになり、創薬エコシステムといった新たなスキームも生まれています。その一方で、欧米では承認されているが日本では未承認、かつ国内開発未着手の品目が増加しており、“ドラッグ・ロス”が懸念されています。日本のパフォーマンスが海外に比べて低いとされ、特に国際共同治験においては、日本人症例の組み入れが遅れがちで、日本を避ける治験依頼者もいるというのが現状です。このような状況を改善するためには、医療機関だけでなく、依頼者、規制当局も含めた産官学規模での治験体制の改革が急務です。
では、CRCとして何が求められるのでしょうか。まずは、日本以外の医療機関の体制やCRCの働き方を理解し、自らとの違いを認識することから始めるのはいかがでしょうか?今回の会議では、海外のCRCらを講演者に招く国際セッションを計画しています。これは、日本以外のCRCの活動を知り、国外にネットワークを広げる絶好の機会です。是非、当日またはオンデマンドでのセッションをお楽しみください。
さらに、臨床試験を取り巻く環境は、世界的に大きな変革期を迎えています。特に、パンデミックを契機に加速したICT(Information and Communication Technology)の活用により、臨床試験のプロセスや方法論が大きく変わりつつあります。これらの変化をより理解するために、GCPリノベーション、DCT(Decentralized Clinical Trials: 分散型治験)、DX(Digital Transformation)、PPI(Patient and Public Involvement: 臨床試験への患者・市民参画)に関連する幅広いセッションを企画しています。
今回のあり方会議では、これまでに議論されてきたCRCに求められる普遍的な知識・スキルに加え、国際的な視点・思考を新たに取り入れ、ICTを活用した臨床試験の変革を探ります。そして、CRCがプロフェッショナルとして今後何を求められるかを皆様と共に考えることで、CRCの未来を展望したいと考えています。皆様のご参加を心よりお待ちしております。