今年のプログラムができました
「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」の3年目、革新的な医療イノベーションの創出に向けた臨床研究の活性化が図られる一方で、臨床研究の信頼性の確保を改めて考え直さなくてはならない課題にも直面しています。
臨床研究をとりまく環境が大事な過渡期を迎えているという背景のなか、プログラムの検討を重ねてまいりました。今年は、治験関連団体および国内の主要な臨床試験関連団体のご協力を得て、この正念場を乗り越えるべく、プログラム委員会メンバーの総力を結集しました。
未来の医療に向けた「プロフェッショナリズム♪」をお届けできるよう、本年もあり方会議で有意義な時間を皆様と共有したいと願っております。皆様のお越しをお待ちしております。
プログラム委員一同
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【抄録集の著作権について】
「第14回CRCと臨床試験のあり方を考える会議」プログラム・抄録集の著作権は保護されており,一般財団法人臨床試験支援財団の他,各資料の著作者が所有しています。
私的かつ非商業目的で使用する場合,および,その他著作権法により認められた場合を除いて,各資料を使用する場合は事前に必ず著作権者による許可を得てください。
事前に著作権者による許可を受けずに複製,改変,他のウェブサイトへの転載などを行うことは,著作権法により禁止されています。
(上記の私的かつ非商業目的で使用する場合においても,改変などは認められません。また個人的な使用であっても著作権等に関するあらゆる表示を削除してはなりません)
抄録集の誤記訂正のお願い
演題番号P-146(抄録集P49、P220)
<誤>題名:再生医療製品の臨床試験における安全性に関する試験デザインの課題
<正>題名:再生医療製品の臨床試験における安全性に関する試験デザインの検討
上記のように誤記がありましたので、ご訂正ください。謹んでお詫び申し上げます。
2014年10月4日(土曜日) | P:プレセッション R:事前登録セミナー |
第1会場 (大ホール) |
第2会場 (中ホール) |
第3会場 (コングレス センター3階) |
第4会場 (コングレス センター4階) |
第5会場 (コングレス センター2階) |
第6会場 (コングレス センター2階) |
ポスター会場 (コングレスセンター4,5階) |
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収容 人数 |
1,582席 | 1,030席 | 476席 | 380席 | 45席 | 48席 | |
8:00 | |||||||
8:15 | |||||||
8:30 | |||||||
8:45 | |||||||
9:00 | 開場(受付開始) | ポスター 貼付 |
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9:15 | |||||||
9:30 | |||||||
9:45 | |||||||
10:00 | P 教育講演 プレゼンテーション力をCRCのスキルにしよう!! ~魅せる、伝わるプレゼンテーションとは?~ |
R-① 講義・演習 知って得する製薬企業/CROのデータマネジメント業務!! 《事前登録制》 |
R-② 講義・演習 医師主導治験におけるプロジェクトマネジメント手法 《事前登録制》 |
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10:15 | |||||||
10:30 | |||||||
10:45 | |||||||
11:00 | ウェルカム コンサート |
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11:15 | |||||||
11:30 | |||||||
11:45 | |||||||
12:00 | ポスター閲覧 | ||||||
12:15 | |||||||
12:30 | 開会式 (~12:40) |
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12:45 | 1 【会議代表企画】 臨床研究・治験をとりまく環境が変わる:とおとうみから今を伝える 第1部 12:40~13:20 第2部 13:20~14:00 |
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13:00 | |||||||
13:15 | |||||||
13:30 | |||||||
13:45 | |||||||
14:00 | |||||||
14:15 | |||||||
14:30 | 2 シンポジウム 「臨床研究・治験の普及・啓発」を問いなおす:この10年とこれから |
3 教育講演 初心にもどって、治験やGCPの意義を考えてみませんか? |
4 シンポジウム 製造販売後調査のあり方を考える ~患者さんの治療に活かせる製造販売後調査の実施に向けて~ |
5 シンポジウム 研究者主導臨床試験の質の向上へのアプローチ ~臨床研究の信頼性確保の取り組み〜 |
R-③ 演習 体験プログラム: 医師主導治験の調整事務局に挑戦してみよう 《事前登録制》 |
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14:45 | |||||||
15:00 | |||||||
15:15 | |||||||
15:30 | |||||||
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16:00 | |||||||
16:15 | |||||||
16:30 | R-④ 討議 CRCとCRAの協働のために ~治験におけるコミュニケーションについて考えよう!~ 《事前登録制》 |
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16:45 | 示説① 演題番号 (奇数) |
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17:00 | シンポジウム 《共催セミナー》 iPS細胞の臨床への応用と実用化・産業化に向けた新たな課題 ~CRCの働き方の多様性と活躍の場の可能性~ |
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17:15 | |||||||
17:30 | |||||||
17:45 | 示説② 演題番号 (偶数) |
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18:00 | |||||||
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18:30 | 情報交換会会場(プレスタワー)へ移動 | ||||||
18:45 | |||||||
19:00 | 情報交換会(会場;プレスタワー17階 静岡新聞ホール) | ||||||
19:15 | |||||||
19:30 | |||||||
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20:30 | |||||||
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2014年10月5日(日曜日) | R:事前登録セミナー BBS:ブラウンバッグセミナー |
2014年10月4日(土)12:40~14:00 第1会場
臨床研究・治験をとりまく環境が変わる:とおとうみから今を伝える
第1部:《教育講演》
第2部:《パネルディスカッション》
第1部:《教育講演》
「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」(文部科学省・厚生労働省 平成24年3月30日)が策定されて3年目を迎える今、日本の臨床研究をとりまく環境は大事な過渡期を迎えている。臨床研究中核病院等事業を中心に革新的な医療イノベーションの創出に向けて着実な進展が見られる一方で、昨今、臨床研究事案に関する複数の不本意な事案が発覚し、世界に向けて本邦の臨床研究の信頼性を回復しなければならない大きな使命に直面しているところである。
本セッション第1部では、厚生労働省より、先述の「5か年計画2012アクションプラン」の進捗および「臨床研究に関する倫理指針」の改正について、また、文部科学省よりトランスレーショナルリサーチにフォーカスした「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」の進捗や臨床研究に携わる人材の今後の育成等についてご講演いただく。
第2部:《パネルディスカッション》
とくに治験ネットワークをテーマとしてとりあげ、地元とおとうみから、治験の効率化や症例集積性の向上にむけた実効性のある取り組みを発信する。その後の意見交換では、ネットワークを構成する医療機関の長の立場から、ネットワークに何が期待されているのか、ネットワークに参加する意義やこれからの取り組みの方向性等について考えてみたい。
2014年10月4日(土)14:30~16:30 第1会場
「臨床研究・治験の普及・啓発」を問いなおす:
この10年とこれから
医療水準を向上させるためには、臨床研究・治験は不可欠であり、これらを実施することにより新しい治療法の確立、新薬・新医療機器の創出等につなげることができる。臨床研究・治験は、言うまでもなく被験者の協力なくしてはあり得ないため、「全国治験活性化3カ年計画」(平成15年4月30日文部科学省・厚生労働省)以降、国民に対する臨床研究・治験の普及・啓発活動が国、医療機関等で積極的に進められてきた。
しかしながら、この10年間で、本当に国民の理解は進んだのだろうか。これまで行われてきた取り組みの多くは、臨床研究や治験一般についての一方的な情報提供であり、個々の被験者のニーズに応じた情報を提供したり、患者や市民の視点を取り入れて情報提供を行ったりする試みはあまり進んでいないように思える。
たとえば、臨床研究や治験に関して、真に国民から理解を得るためには、研究開始時や実施中だけ十分な情報を提供するのではなく、研究終了後に研究結果を被験者に返すことが重要であろう。また、これから臨床研究や治験に参加したいと考えている患者や一般市民にとっては、過去に臨床研究や治験に参加した人の体験談にアクセスできることも重要になる。
そこでこのセッションでは、臨床研究・治験への国民の理解を得るための新たな取り組みを複数とりあげ、その可能性について議論してみたい。
2014年10月4日(土)14:30~16:30 第2会場
初心にもどって、治験やGCPの意義を考えてみませんか?
治験に係る業務は、恒常的に又は均質にかつ適正に実施されるよう標準的な手順を定めた手順書に従って実施される。個々の治験については、さらに詳細な手順を記載したワークシートやマニュアルなどを作成した上で、実際の業務を行なうことが多い。これらの資料を活用することにより、治験の経験が比較的浅い医師やCRCであっても、治験実施計画書に従った治験が実施できるようになっている。
これらの資料の利用にあたっては、事前にGCPの本質を十分に理解し、資料の位置づけと正しい利用方法を習得しておくべきであるが、何かと慌ただしい日常業務の中では、ワークシート等の記載に従って機械的に対応してしまう場合もあり、それぞれの手順のもつ意味を考える場面は少ないと思われる。このため、通常の流れとは異なる状況に遭遇した際に、適切な対応がとれなかったりすることもある(例えば、何らかのエラーにより急遽治験のための再検査が必要になった際に、被験者への説明や同意取得の手順が不適切であったケースなどがあげられる)。また、現在、それぞれの治験実施医療機関や治験施設支援機関において、相当の経験が蓄積され、前述のように手順書やワークシート等が細かく整備されたところではあるが、研修においては、それらの“使い方”に関する内容が主となり、以前に比べて、GCPの意義に立ち返る機会は少なくなっているように感じる。本セッションでは、治験やGCPの本質を理解した上で日々の業務を進められるように、きっかけづくりとして初心にもどって考えてみたい。
2014年10月4日(土)14:30~16:00 第3会場
製造販売後調査のあり方を考える
~患者さんの治療に活かせる製造販売後調査の実施に向けて~
国際共同治験のデータを用いて承認される医薬品が増加し、製造販売後の安全性及び有効性の情報収集が重要視されている。医薬品の安全性の確保を図り、開発段階から製造販売後まで一貫したリスク管理を行うため製造販売業者が作成する医薬品リスク管理計画(RMP)において、製造販売後調査(使用成績調査)は医薬品の特性を踏まえ個別に実施される活動として位置づけられている。
昨今、製造販売後調査に対して、CRCの支援が拡がってきているが、一方で製造販売後調査に関する様々な疑問をもっているCRCも少なくない。本シンポジウムでは、患者さんの治療に活かせる製造販売後調査の実施に向けて、製造販売後調査に関する基本的事項や様々な課題を踏まえたうえで、その解決策などを考えてみたい。
2014年10月4日(土)14:30~16:00 第4会場
研究者主導臨床試験の質の向上へのアプローチ
~臨床研究の信頼性確保の取り組み~
研究者主導臨床試験によって適応追加やエビデンスの確立が行われている一方で、その信頼性に懸念が呈されている。現在、「臨床研究に関する倫理指針」の見直しが行われており、研究者主導臨床試験においても、データの適切な管理、モニタリング・監査、記録の保存を含むICH-GCP等の国際水準に準拠した実施が求められるようになった。臨床研究中核病院が整備され、自施設でのARO(Academic Research Organization)機能の充実と他施設へのその機能の提供が進められている。また、臨床試験を実施するにあたり試験薬の確保は必須であり、いかに試験薬の品質を担保するかも重要な検討事項である。さらに、今後本邦においても米国IND制度、欧州CTA制度のような臨床研究全般を包括的に規制する法律の導入も検討されている。しかし、すべての臨床研究実施施設において国際水準に対応できる支援組織を整備することは極めて難しいのが現状である。
本セッションでは、研究者主導臨床試験の質の向上のため、中核病院の取り組みや海外制度を紹介するとともに、中核病院だけでなくそれ以外の病院も含めて本邦において質の高い臨床試験を行うための方策を議論したい。
2014年10月5日(日)9:00~10:15 第1会場
医療機関の品質管理の仕組みづくり I
~リスクに基づくモニタリング~
近年、被験者の安全性及び治験の信頼性を確保しつつ、治験関連業務の効率化を図る手法としてリスクベースドモニタリング(RBM)をどのように導入すべきか頻繁に議論されているが、治験の品質確保において、治験を実施する現場であり、データの発生元となる実施医療機関が担う役割は言うまでもなく重要である。特に、被験者への説明や同意の取得、治験によって得られたデータを最初に記録するまでのプロセスは重要であり、治験の倫理的・科学的な質に大きく影響を及ぼす。
治験の各プロセスにおいて、医療機関でどのような品質管理がなされていれば、リスクに基づくモニタリング及びリスクに基づくSDVのスムーズな導入に繋がるのか。RBMの考え方について整理するとともに、治験の品質確保のために医療機関は今何をすべきかを議論する。
なお、治験のデータの品質確保、リスクに基づくSDVの導入のために重要であるローカルデータマネージメント(LDM)については、引き続き「医療機関にの品質管理の仕組みづくり II」で詳細に取り上げる。
2014年10月5日(日)9:00~10:00 第2会場
CRCのキャリアパス
~経験の先に何が見えるのか~
CRCとしてのキャリアをスタートした者、そしてCRCとして長年実務経験を積んできた者にとって、その先にどういったキャリアがあるのかは大きな関心事である。臨床研究・治験の世界にCRCが登場して長い年月が過ぎ、実務経験を積んだCRCには、現場の管理者としてキャリアアップしていく者、看護師、薬剤師などの元々の専門職に戻り、CRCの経験を活かしながら活躍している者、臨床研究のマネジメントに携わる者、新たな分野にチャレンジする者なども増えてきている。
このセミナーでは、現場のCRCから新たな業務にチャレンジされている2名の方にご自身の経験を踏まえながら、歩んできたキャリアについて講演をいただく。実際にCRC経験をどのように次のキャリアに活かしているのか、そして新たな業務にチャレンジしたからこそ見えるこれからのCRCのあるべき姿とは何かを知り、今後のキャリアパスを検討するにあたっての参考にしたい。
2014年10月5日(日)9:00~10:00 第3会場
新しい医療技術を社会に届けるために
~先進医療B制度における臨床試験の支援を考える~
医療の進歩には、新規の医薬品・医療機器の開発のみならず、複数の医薬品の組合せや、医療機器との併用による「技術」の開発も重要である。さらに昨今は、再生医療技術が革新的な治療として注目されている。このような新しい医療技術を、臨床の場で使えるようにするためには、保険診療への適用(保険医療化)が必要であり、それを目指すための「開発型臨床試験」では適正な評価と迅速さが求められている。中でも先進医療Bにおける臨床試験は、未承認の医薬品・医療機器などを使用した医療技術の保険適用の評価を目的としている。
しかしながら、治験以外の臨床試験にもCRCの参画が推進されているものの、限られた人材や資金等の理由から、企業治験と同じ水準での支援は行き届かず、多くの支援依頼の中から一部を選択せざるを得ない実情である。このような状況では、当該対象疾患においてその医療技術を開発する意義や価値、開発戦略における臨床試験の位置づけによって、「どのくらいの水準の品質を確保すればよいのか」を推察し、効率のよい支援を能動的に提案していくべきではないだろうか。
本セッションでは、まず新規の医療技術を保険医療化する方法(開発トラック)を学び、開発型臨床試験で必要とされる支援がどの程度かを見極めるポイントを学ぶ。続いて、先進医療B制度を利用した再生医療技術開発の具体例を紹介し、CRCに期待される役割を考える。
限られたリソース(人材や資金)をどう有効活用して医療開発に貢献するか、臨床試験の支援体制を考えるきっかけとしたい。
2014年10月5日(日)9:00~10:00 第4会場
治験・臨床試験の科学性を担保するために、統計学は重要な位置を占めている。データ解析は統計学に基づいて行われ、その業務は製薬企業の臨床開発においては統計専門職(生物統計家)に委ねられている。一方、自主臨床試験が実施される医療機関では生物統計家の配置が十分でないこともあり、医師、薬剤師等が臨床試験の統計解析部分を担当していることもしばしばである。その様な中、CRCが研究プロトコルの作成段階から統計学的考察に関与し研究を計画したり、あるいはプロトコルの審査や学術論文を読みこなし科学的に吟味する際に、それを活用する現状もある。しかし、大学で統計学を基礎から応用まで体系的に学んだ方は非常に少なく、かと言って独学で統計学を学ぶには余りにも敷居が高すぎると考えているCRCの方も多いと思われる。本教育セミナーでは、CRCが日頃良くわからないと思っている統計解析を行う上で遭遇する疑問点を、基本に立ち返り、わかりやすく解説していただく。データのグラフ表現や、多重性の取扱い、多変量解析における変数選択、症例数設計など、CRCが素朴に感じる疑問点を、Q&A形式で進めていく予定である。普段難しいと敬遠しがちな統計学の面白さを垣間見ていただき、今後のスキルアップに役立てていただければ幸いである。
2014年10月5日(日)10:30~12:00 第1会場
医療機関の品質管理の仕組みづくり II
~ローカルデータマネジメント~
2011年にFDA等からリスクに基づくモニタリングに関するガイダンス案が発出され、モニタリングのあり方が変わりつつある。第13回CRCと臨床試験のあり方を考える会議IN舞浜では、シンポジウム「これからのモニタリングについて考えよう!」において、リスクに基づくモニタリングの実施に向けて、医療機関における臨床研究・治験業務の品質管理体制の構築が重要であるという提言がなされた。しかし現状として、そのような体制を有する医療機関が数多く存在するわけではない。今回、医療機関におけるデータの品質管理の仕組み作りにスポットをあて、Ⅰ部「リスクに基づくモニタリング」に引き続き、本Ⅱ部では医療機関におけるデータの品質管理として、ローカルデータマネジメント(LDM)にスポットをあてる。データの品質管理の考え方について理解を深めた上で、実際に医療機関で実践されている品質管理への取り組み事例及びLDM業務の実例をもとに、治験依頼者が医療機関におけるLDM業務に期待すること、さらに今後、医療機関の品質管理体制をどのように構築していけばよいか、医療機関における品質管理について議論し、今後のモニタリングのあり方にどのような影響を与えることができるのか考えて行きたい。
2014年10月5日(日)10:30~12:00 第2会場
研究倫理審査の標準化/集約化を目指して
~審査のあり方を考える~
2012年12月に厚生労働省、文部科学省の専門委員会により始まった「臨床研究に関する倫理指針」「疫学研究に関する倫理指針」の見直しであるが、両指針を統合する方針となり、統合案の検討が進むなかで、過去に行われた臨床試験の不適切な実施が発覚した。この不適切事案の調査報告書において、倫理審査委員会(以下、REC)が機能しなかったことが指摘されている。時を同じくして、平成25年度厚生労働科学特別研究事業による「疫学研究にかかる倫理審査委員会の実態調査」(主任研究者:玉腰暁子先生)の中間報告により、RECの実態が明らかとなった。これら臨床研究に対する逆風を受け、研究の質確保及びその一端を担うRECの質を確保する要素を盛り込み、統合指針「人を対象とした医学系研究に関する倫理指針(仮称)」は2014年4月30日現在、最終検討段階にある。
一方、再生医療の領域では、国が認定する「(特定)認定再生医療等委員会」が高度な審査能力と第三者性を有して審査機能を担う準備が始まった。これはRECの集約化、他機関委託のモデルとなると考えられる。RECの集約化は、審査の質確保・迅速化・委員会負担の軽減・効率化、すなわち審査の標準化を実現する一つの強力な策である。研究の適切な実施かつ推進を目的としてRECの責務が高まる中、各研究機関では研究倫理審査の質をどのような体制で確保していくべきであろうか。
本教育講演では、海外のREC事例、日本国内のREC実態調査結果、統合指針検討の過程で示されたRECの在り方を参考に、研究倫理の原則に立ち戻り、今後、本邦で求められる現実的な研究倫理審査の在り方を探る。あわせて、臨床試験へのICH-GCP適用や統合指針の法制化についても触れる。
2014年10月5日(日)10:30~12:00 第3会場
臨床試験トレーニング
~関係者の自立のために私達ができることは?~
臨床試験を適正に実施するためには、規制などの基本的な知識から実施する上での作法など幅広いスキルが必要とされる。臨床試験の実施にかかわる者への教育が必要であることは行政、医療機関、依頼者とも認識しているが、現状では何をどこまでやれば充分と言えるのか共通の基準はない。
企業主導の治験であれ、医師主導の臨床研究であれ、実施に必要な基本的知識とスキルは大きく変わらないと考えられる。ここでいう教育の最終目的は、臨床試験の実施にかかわる者のスキルを高めることである。臨床試験実施にあたりGCP等の規制があることの本質を理解し、それらを意識して臨床試験に取り組むことにより、各人の役割は明確になってくる。これまで医療機関の現場では、臨床試験の実施にあたりCRC や治験事務局に大きく頼ってきたが、医師をはじめ臨床試験の実施にかかわる者がそれぞれ自立すれば、今後の日本の臨床試験環境は大きく変わってくるだろう。臨床試験の実施にかかわる者の自立のために、CRCや治験依頼者は何ができるかを考えたい。
本シンポジウムでは、臨床試験の実施にかかわる者が臨床試験を適正に実施できる「人財」になるために、主に教育に焦点を当て、教育内容や教育実施方法等の様々な工夫、また医療機関で取り組める仕組み作りの参考になるような議論をしたい。
2014年10月5日(日)10:30~12:00 第4会場
医療機器治験”不具合等報告”
~有害事象だけではない、医療機器には不具合がある~
医療機器GCPでは治験機器の不具合等に係る情報の収集と報告が要求されているが、不具合等の定義・考え方について、医療機器治験に携わる者(医療機関、治験依頼者等)の十分な理解が得られているとは言い難く、不明瞭なまま業務に就いている状況が垣間みられる。
本セッションでは、医療機器の治験に関する規制要件や、本年7月に施行される改正規定をふまえた医療機器治験に係る不具合等に関する基礎的な定義・考え方のみならず、実地の現場から得た疑義事項について行政から解説して頂く。また、事前に治験実施上の具体的な事例を収集し、それをもとに行政、実施医療機関及び治験依頼者によるパネルディスカッションを行い、収集・報告されるべき情報等に関し、関係者間で理解を深めることを試みる。
2014年10月5日(日)14:00~15:30 第1会場
利益相反マネジメントの現状と課題
~臨床研究の信頼性確保のために~
昨今、降圧薬の臨床研究において、利益相反が開示されていなかったこと、またその研究においてデータ改ざんが指摘されたことなどにより、我が国の臨床研究の信頼性が大きく揺るがされている。
利益相反については、10年ほど前より我が国でもそのマネジメントの重要性に目が向けられ始め、2008年には厚生労働省より「厚生労働科学研究における利益相反の管理に関する指針」が発出された。この指針により、厚労科研費を受領する機関は利益相反委員会を設置し、利益相反管理を行うことが義務づけられた。しかし、臨床研究全体に対する利益相反マネジメントの取り組みには遅れが見られ、今回の問題が発覚するまで、研究者、研究機関、製薬企業のいずれも認識不足であり、その管理は不十分と言わざるを得ない状況であった。
そこで本シンポジウムでは、まずは研究不正事例について、何が問題だったのか、問題の背景にはどのようなことがあったのかを学び、利益相反マネジメントに関する国としての対策、アカデミア及び製薬企業における取り組みを紹介していただく。
このシンポジウムを通して、CRCその他臨床研究専門職が如何に研究の信頼性確保に貢献し得るかを再確認するとともに、利益相反に関して、自らが留意すべき点を見つめ直す機会となることを期待する。
2014年10月5日(日)14:00~15:30 第2会場
臨床試験のProfessionalとして働き続けるために
~What are your greatest strengths(あなたの強みはなんですか)?~
日・インドネシア及び日・フィリピン経済連携協定により、インドネシア人・フィリピン人の看護師の日本への受け入れが進んでおり、臨床試験業界においても、フィリピン人CRCが誕生した。一方、日本のみならずアジア地域を担当する日本人CRAも存在しており、今後、臨床試験に関わる人材のグローバル化が進むと、CRC/CRAの雇用や業務環境が大きく変化する可能性もある。本シンポジウムでは周囲の環境が変化しても、個々のCRC/CRAが臨床試験のProfessionalとして働き続けられる強みを持つために何が必要なのか、国を超えて活躍しているCRC/CRAの経験や各種認定制度等を踏まえ、議論する。
2014年10月5日(日)14:00~15:30 第3会場
治験ネットワークの有効活用
~ネットワーク活性化のKeyを探る~
日本の治験推進のために症例集積性の向上や業務効率化は必須である。しかしながら、日本の多くの医療機関の規模や体制ではアメリカや韓国のように試験の種類を問わず1医療機関で多数の症例を組み入れることは難しく、さらに共同IRBでの審査や治験開始前に現実的な実施可能症例数を調査することもまだ限定的である。
これらの問題を解決するために「臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン」では、『国内における優良な治験ネットワークが3ネットワーク以上存在している、共同IRBを設置した治験ネットワークの数が増加している』を目標として掲げている。しかし、未だ治験ネットワーク(以下、NW)での手続きの省略化および症例集積性の向上とも十分とは言えず、依頼者がNWを積極的に活用するに至っていない。さらに、このことがNWの活性化・維持を困難にしている現状から、これを好循環に転ずるための打開策が必要である。
そこで、本シンポジウムでは依頼者が求めるNWの要素、SMOと医療機関NWのそれぞれの強みを題材に、NWに求められる機能及び理想的で実現可能なモデルを追及するための方策を検討したい。NW活性化のKeyを探るために、依頼者、医療機関NW、SMOの立場からの発表後、それぞれの立場から率直に意見を交換し、今後のNWを利用した治験の活性化に役立てたい。
2014年10月5日(日)14:00~15:30 第4会場
審査報告書から見えてくるもの〜森から木を見る〜
「審査報告書を見たことはありますか?」治験に参加した実施医療機関では、当該治験等で知り得る情報は、企業がまとめた試験ごとの結果または自施設の被験者情報程度に留まることが多いのではないだろうか。
つまり、治験の終了後、依頼者等から承認になった、もしくは開発中止した等の情報は得るものの、リクエストしなければ支援スタッフへの承認審査過程などのフィードバックはほとんどないため、その治験等の顛末や自分達がかかわったデータの採否等を把握しないまま、毎日次々に目の前の業務をこなすことに追われ、自分の業務、個々の支援への振り返りが充分に行えていない現状がある。
しかし、治験等の結果を基に作成される成果物等から、計画の妥当性を評価すること、審査側と依頼者側のやりとりを読み解き、審査官の視点で見えてくることを理解することで、専ら実施医療機関内業務="木"と向き合うだけだった業務から、"森"という全体像を見る視点を養うことが期待できる。
このような振り返りは意味深い経験となり、次に支援する計画の妥当性、実施時の留意点を思案・理解することを通して、治験や臨床研究の本質をとらえた支援につながるのではないだろうか。
本教育講演では、PMDAのWebサイトで公表されている申請資料概要、審査報告書を私たちがどう読み解き、活用できるかを解説頂き、具体的な読み方、面白さについての示唆を得る。
“森”を見る手段として、審査報告書が“読みたくなる”きっかけになれば、幸いである。
プレセッション・事前登録セミナー
※事前登録セミナー受講を希望される方は事前登録セミナーの申込からご応募ください。
2014年10月4日(土)10:00~12:00 第4会場
プレゼンテーション力をCRCのスキルにしよう!!
~魅せる、伝わるプレゼンテーションとは?~
昨年の東京オリンピックの招致活動において、「お・も・て・な・し」を代表とする日本の招致委員によるプレゼンテーションが注目を集めた。プレゼンテーションが単なる発表ではなく、聴衆を引きつけ、演者の思いを伝えるための発表であることを再認識するよい機会となった。
我々CRCは日々の業務の中で、医師や関連部署への説明など、人前で発表を行うことが多く、その善し悪しがその後のコーディネーション、そして自らの評価に影響を与えることも少なくない。そのため、「プレゼンテーションが上手くなりたい」という思いは、CRC誰しもが少なからず持っている欲求ではないだろうか。
今回は、そのきっかけ作りとして、魅せるプレゼン(プレゼンテーション資料の効果的な作成)と伝わるプレゼン(納得を生むプレゼンテーション手法)について、そのあり方を研究されている第一線の先生方をお招きし、ご講演をいただく。今回の講演を通して、ほとんど学ぶ機会のないプレゼンテーションに関する基礎知識を学び、今後プレゼンテーション力をCRCが持つ共通スキルにしていく足がかりとしたい。
もちろん、本セッションはCRC以外の方々にも、プレゼンテ―ションのスキルアップのために、有用なセッションになると考えられ、多くの皆様のご参加をお待ちしている。
2014年10月4日(土)10:00~12:00 第5会場
知って得する製薬企業/CROのデータマネジメント業務!!
医薬品開発実務者の観点から、治験データの取り扱いを中心としたデータマネジメント業務の紹介をおこなう。データマネジメント業務の流れから、具体的な業務内容、業務に必要となる手順書・資料の内容と手順書・資料作成時の留意事項、症例報告書の設計時、有害事象等コーディング時の留意事項を共有し、医療現場でデータを収集する際に注意すべき点についての理解を深めることを目的としたセミナーを開催する。対象は、業務経験4年以内のCRC、ローカルデータマネジャー、CRA等とする。
2014年10月4日(土)10:00~12:00 第6会場
医師主導治験の推進という重責を負った調整事務局担当者にとって、プロジェクトマネジメントスキルは備えておきたいスキルであるが、習得する機会が限られているという現状がある。
医師主導治験という「プロジェクト」の推進支援を行うにあたり、プロジェクトマネジメント(PM)を適切に取り入れ効果的に行うことは、限られたリソースの中での実施計画の妥当性の構築や規制の遵守と同等に、研究の質とスピードを高める鍵となるのではないだろうか。
PMは「仕事の作法」である。PMはプロジェクトの目的や目標を共有するメンバーが、効果的なコミュニケーションを通してプロジェクトを成功に導くためのアイディアの創出を支援する。また、スケジュール等のプロジェクト情報を「見える化」しプロジェクトとチームによりよい連携を生み出す。
現在、医療機関の研究支援を行うスタッフの大半はPMの手法のいくつかを業務に取り入れていると考えられるが、体系的な知識を学ぶ機会は少ないと推察される。
本セッションではPMBOK(PM知識体系ガイド)を元に、プロジェクトの立ち上げから計画実行までのプロセスで、「どのような目的のために何を行うと、どんな良いことが起こるのか」について、FAQの紹介や仮想の実施計画を用いた演習を交えながら、共に考える機会としたい。
2014年10月4日(土)14:30~16:30 第5/第6会場
近年、医師主導の治験や臨床研究は多くの医療機関で実施されるようになり、今後も増加すると予想される。医師主導治験を計画・運営する医療機関は、企業と同等の品質を確保しながら治験を円滑に推進し、適確に評価し、承認申請に繋げるという重要な責務を負う。
限られたリソースの中で実施体制を構築する際、医療機関のスタッフが調整事務局の役割を担うことになる、という状況に直面する。体制整備に係る業務は多岐に渡り、調整事務局が抱える負担は少なくない。初めてのことで何をすれば良いのか具体的にイメージ出来ない、あるいは調整事務局経験者であっても「他に良い方法があったのではないか」と試行錯誤を重ねているのではなかろうか?
このグループディスカッションでは、医師主導治験や臨床研究の立ち上げに直面している治験調整事務局担当者に意見交換のきっかけを提供し、その不安やストレスを軽減する一助となることを目的としている。日頃抱えている疑問を持ち寄り、標準的な方法を整理し、明日に生かせるヒントにしたい。
2014年10月4日(土)16:30~18:30 第4会場
CRCとCRAの協働のために
~治験におけるコミュニケーションについて考えよう!~
※本講演の聴講(16時30〜17時00分)は事前登録がなくても参加可能といたします。
治験現場の最前線にいるCRCとCRAは、治験環境のめまぐるしい変化に対応しながら日々業務を行っている。新薬を必要とする患者のもとへ、いち早く届けるという共通の目的があるにも関わらず、互いにコミュニケーションがうまく取れずに悩んでいることがある。CRCとCRAのコミュニケーションをより円滑なものにするためには、互いの立場に立って、相手の業務内容とその根拠を把握した上で、ビジネスパートナーとして協働する気持ちを共有していくことが重要である。そのためには、治験におけるコミュニケーションスキルを学ぶことも有益な方法のひとつと考える。
今回のセッションでは、治験業務を円滑に進めるためのコミュニケーションのあり方について焦点を置き、ざっくばらんなディスカッションを通して、お互いの立場と想いを理解して、CRCとCRAが協働できる環境作りのきっかけにしていきたい。また、このセッションを通して得られるであろう仲間とともに、これからの治験の活性化に向けた取り組みへの第1歩としたい。
2014年10月5日(日)10:15~12:15 第5/第6会場
コーチング:アクティブリスニング(傾聴)のスキルトレーニング
傾聴は、コミュニケーションスキルの中でも群を抜いて重要なスキルといえる。
もしあなたの話し相手があなたの発する言葉の一つ一つに興味を示し、心から共感してくれたとしたらあなたはいったいどんな気持になるだろうか。深い傾聴の姿勢で話を聴いてもらうと、人は自分が尊重されているように感じ、その相手を心から信頼するようになる。
傾聴はコーチングにおいて欠かせない要素であり、職場の様々なステークホルダーとの信頼関係を築くのにとても重要なスキルだと考えられている。
本セッションでは、傾聴の基本的な理論と方法を学び、ロールプレイングで傾聴のレベルと、それに合わせた質問のスキルを体験して頂き、今までとは違う話の聴き方を身につけることによって、職場でのコミュニケーションの質がどのように変わっていくのか、その可能性や具体的なアイディアについて共に探求していきたい。
ブラウンバッグセミナー
※第1会場(大ホール)・第2会場(中ホール)は、本会議指定のお弁当(事前予約のみ)以外の持ち込みは禁止されております。お弁当の購入についてはこちらをご覧ください。
2014年10月5日(日)12:30~13:30 第1会場
臨床研究に係わる規制の動向:一関係者の管見
2014年10月5日(日)12:30~13:30 第2会場
治験促進センターが公開する治験業務支援システム
「カット・ドゥ・スクエア」による電子原本管理について
2014年10月5日(日)12:30~13:30 第3会場
きっかけは、グローバルスタディー
-ISO 15189:日本の臨床検査室にグローバル基準を-
2014年10月5日(日)12:30~13:30 第4会場
リウマチ医から見た治験の魅力
その他のセッション
2014年10月4日(土)17:00~18:30 第2会場
iPS細胞の臨床への応用と実用化・産業化に向けた新たな課題
~CRCの働き方の多様性と活躍の場の可能性~
2012年7月、政府は国家戦略会議にて2020年度までの「日本再生戦略」を公示し、その中で医療イノベーションとして世界最高研究水準にある人工多能性幹細胞(iPS細胞)の研究を初めとする、先進的な医療技術の開発を支援することを盛り込んだ。iPS細胞の研究は、再生医療の実現のみならず新薬開発等、幅広い分野への応用が見込まれ、また、新規市場や雇用創出等、日本経済の再生として大いに期待されている。
再生医療の実用化を促進する法的制度としては、2013年4月に「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けるための総合的な施策の推進に関する法律」(再生医療推進法)、同年11月には再生医療推進法の基本理念を具現化する制度的枠組みとして、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(再生医療等安全性確保法)及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(改正薬事法)の2法が成立し、再生医療等安全性確保法と改正薬事法は2014年11月までに施行予定である。
再生医療3法の成立は、効果や安全性が不確かな幹細胞治療が自由診療で拡大することを規制するとともに、今後の我が国の再生医療を大きく前進させるため、企業参入や産業応用に向けた環境を整え、一般的な治療への迅速な普及を実現させるものといえる。その一方、iPS細胞の応用は夢の未来医療として大きな期待がされているものの、安全面や倫理面の問題、品質確保の他、新たな人材育成等の課題、さらに再生医療等安全性確保法に基づく政省令に何を定めるかという課題が残されている。
本シンポジウムでは、iPS細胞実用化へ向けた取り組みとして最も注目されている再生医療分野に焦点を当て、①iPS細胞をソースにした血小板や赤血球を大量に一定の品質で供給できるようにするためのバンクシステムの構築を目指す拠点研究機関の研究者の立場、②我が国における最初のヒト細胞を用いた再生医療製品を開発し、現在iPS細胞研究にも携わっている企業の立場、③施行間近な再生医療等安全性確保法や政省令も含む、再生医療の法規制の立場、さらに、④今後新たに着手される再生医療の人材育成を行う立場から、多角的に議論する。さらに、再生医療の臨床研究・治験の実務を支えるCRC、SMOの新たなキャリアパスについても議論を深めていきたい。