会議代表
黒田 智
(岡山大学病院 薬剤部,
新医療研究開発センター 治験推進部)
皆さまこんにちは。第23回の会議代表を務めます岡山大学病院の黒田と申します。今回のCRCあり方会議は岡山コンベンションセンターでの開催を予定しています。昨今のコロナ禍が落ち着くことを願い、また天候については晴れの国岡山の力に期待して、実地での開催を中心に考えています。また、様々な事情で現地に来られない方も考慮してWeb併用のハイブリッド開催を検討しています。
さて、会議のテーマですが、「次世代への架け橋~患者のため、社会のために必要な臨床試験のあり方~」としました。
臨床試験を取り巻く環境は大きな変革の時代を迎えています。キーワードとして、GCPリノベーション、DCT(分散化臨床試験)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、PPI(臨床試験への患者・市民参画)、QMS(品質マネジメントシステム)など、様々なトピックスや課題があります。これらに対して皆さまも取り入れ取り組むことを検討しているところかと思います。しかしながら、これらに対応すること自体が目的とならないこと、本質を見失わないようにすることが重要です。「なぜ」「何のために」新しい取り組みを行うのかを考えておく必要があります。
目的を考える際に、今般考慮すべきはSDGs(持続可能な開発目標)です。2023年は、国連で2015年に採択されたSDGsがゴールとする2030年までの中間点にあたります。CRCや臨床試験における新しい取り組みについても、今ある資源を無駄遣いしないこと、次世代へ借金を残さないこと、全人類の幸せ(Well-being)すなわち関係者がWIN-WINの関係にあることが必要と考えられます。
また、2024年度の新一万円札の“顔”となる渋沢栄一は、「論語と算盤(そろばん)」の言葉に代表されるように経済と道徳の両方が必要であると述べています。「経済」として個人やCRC、組織、業界が各々発展することも大切です。ただ、一方で「道徳」として患者のため、社会のため、次世代のための考えを併せ持ち、CRCや臨床試験が国民へ良いイメージを与えられるよう努力することも必要ではないでしょうか。
今回、現地あるいはWebで会議へご参加いただきました皆さまと一緒に、CRCや臨床試験のあり方として「次世代」へつなげるためにどうすべきか検討できるのを楽しみにしています。2023年の岡山にて、今回の会議が「次世代への架け橋」になることを願っています。